レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)


レストレスレッグス症候群

札幌市西区の精神科・心療内科、ことのはメンタルクリニックです。

「布団に入ると脚がむずむずする」「脚の内側に不快感があり、動かさずにはいられない」「歩くと楽になるのに、横になるとまた気になる」

このような症状で眠れない場合、レストレスレッグス症候群が隠れていることがあります。

単なる脚の癖として見過ごされることもありますが、睡眠や日中の生活に影響する、治療の対象となる病気です。

レストレスレッグス症候群とは

レストレスレッグス症候群は、安静にしていると脚を動かしたいという強い欲求が生じ、多くの場合、それに不快な感覚を伴う病気です。「むずむず脚症候群」とも呼ばれます。

不快感の表現は人によって異なります。

  • 脚の中を虫がはうような感じ
  • むずむず、ぞわぞわする感じ
  • 脚の奥がほてる、かゆい、引っ張られる感じ
  • 言葉にはしにくいものの、動かさずにはいられない感じ

特徴は、座っているときや横になったときに現れ、歩くなどして脚を動かすと軽くなり、夕方から夜間に強くなることです。

就寝時だけでなく、映画館や長時間の移動中など、じっと座っている場面で困る方もいます。脚以外に腕などへ症状が現れることもあります。

症状が続くと寝つきが悪くなり、睡眠不足による日中の眠気や疲労につながります。不眠の相談をきっかけに、この病気が見つかることもあります。

原因について――鉄と脳内の神経機能の関係

原因は一つではありません。遺伝的な体質、脳内の鉄の利用やドパミン系の機能など、複数の要因が関係すると考えられています。

ドパミンに作用する薬が効くことはありますが、そこから「ドパミンが不足している病気」と単純に説明することはできません。

また、鉄欠乏、妊娠、慢性腎臓病などに伴って症状が現れたり、悪化したりする場合があります。月経量が多い方や献血を繰り返している方では、鉄不足の有無も確認します。

レストレスレッグス症候群の診断

診断では、症状の「感じ方」だけでなく、いつ起きるか、何をすると楽になるかが重要です。

国際レストレスレッグス症候群研究グループ(IRLSSG)の診断基準では、次の5つの特徴を確認します。以下は一般向けに要約したものです。

診断のポイント確認する内容
脚を動かしたい欲求多くの場合、脚の不快感を伴って、動かさずにはいられなくなる
安静時に出現・悪化する座っているときや横になっているときに始まる、または強くなる
運動で軽くなる歩く、脚を伸ばすなどで、少なくとも動いている間は改善する
夕方・夜間に強い日中より夕方から夜間に強くなる、またはその時間帯だけに起こる
別の原因だけでは説明できないこむら返り、むくみ、姿勢による不快感などとの区別が必要

「夜に脚がむずむずする」という症状だけで診断が決まるわけではありません。

また、DSMの診断基準には症状の頻度・持続期間の条件がありますが、IRLSSGでは間欠的に起こるタイプも扱います。毎日起こらない場合でも、睡眠や生活に支障があれば相談する意味があります。

似た症状との違い

こむら返りでは、筋肉が急に収縮して強い痛みが起こります。末梢神経障害などによるしびれでは、夜間や安静時に限らず症状が続くことがあります。

精神科で特に区別したいのは、薬の副作用などで生じる「アカシジア」です。じっとしていられないという点は似ていますが、全身の落ち着かなさが目立ったり、夕方・夜間という時間帯の特徴が乏しかったりします。

薬を始めたり増量したりしてから症状が出た場合は、その経過も診断の手がかりになります。

血液検査では、貧血だけでなく鉄の蓄えも確認

レストレスレッグス症候群では、鉄の状態を確認することが治療につながります。

ヘモグロビン値が正常でも、鉄の蓄えが十分とは限りません。そのため、必要に応じて血清フェリチンやトランスフェリン飽和度(TSAT)などを調べます。

2025年の米国睡眠医学会(AASM)ガイドラインでは、成人について、フェリチン75 ng/mL以下、またはTSAT 20%未満を鉄補充の検討目安としています。これは一般的な貧血の判定とは異なる、レストレスレッグス症候群に特有の考え方です。

ただし、この数値は専門家の合意に基づく目安であり、「この値なら必ず鉄剤を使う」という意味ではありません。炎症の影響や鉄過剰の可能性、国内の適応も含めて判断します。

レストレスレッグス症候群の治療

治療では、症状の頻度、睡眠への影響、鉄の状態、腎機能、服用中の薬などを確認します。

1.悪化させる要因を見直す

カフェインや飲酒が症状を悪化させる方では、摂取量や時間帯を見直します。

また、一部の抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、抗精神病薬、制吐薬などが症状に関係する場合があります。市販の睡眠改善薬や風邪薬も、確認しておきたい薬です。

ただし、必要な薬を自己判断で中止するのではなく、処方した医師と相談して調整します。睡眠時無呼吸症候群が併存している場合は、その治療も重要です。

2.鉄不足があれば、その原因と補充を検討する

鉄不足が症状に関係している場合は、鉄補充によって改善することがあります。

同時に、月経過多や消化管からの出血など、鉄が不足する原因も確認します。海外では静注鉄を用いる治療もありますが、日本で使用する際は製剤ごとの適応や安全性を確認する必要があります。

鉄は多ければよいものではありません。検査結果を確認しながら治療を進めます。

3.症状が続く場合は薬物療法を検討する

近年、継続的な薬物療法で重視されているのが、α2δリガンドと呼ばれる種類の薬です。

2026年に公表された治療アルゴリズムでも、慢性的に症状が続く場合の第一選択の薬物療法として、ガバペンチノイドが位置づけられています。

ガバペンチン エナカルビル(レグナイト)

日本では、中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群に適応があります。

体内でガバペンチンに変換され、神経の興奮に関わるカルシウムチャネルのα2δサブユニットに作用します。

眠気やめまいなどに注意が必要で、服用中は自動車の運転など危険を伴う作業を避ける必要があります。また、腎機能によって使用の可否や用量が変わるため、事前の確認が重要です。

なお、海外で推奨されるガバペンチンやプレガバリンについても、レグナイトと同じように日本で本症への承認があるわけではありません。海外の推奨と国内の保険適応は分けて考える必要があります。

ドパミン受容体作動薬

プラミペキソール(ビ・シフロール)やロチゴチン(ニュープロパッチ)なども、日本で本症に適応のある薬です。症状を改善する一方で、長期使用に伴う「オーグメンテーション」に注意します。

オーグメンテーションは、治療に使っている薬によって、かえって症状の出方が悪化する現象です。

  • 夜だけだった症状が、夕方や昼から出るようになる
  • 座ってから症状が出るまでの時間が短くなる
  • 症状が以前より強くなる
  • 脚だけでなく腕などにも広がる

このような変化があったとき、単に「薬が足りない」と考えて増量を続けると、さらに悪化する場合があります。

現在のガイドラインでは、この長期的な問題を重くみて、ドパミン作動薬の標準的な使用には慎重な立場を取っています。ただし、すべての患者さんで使用を避けるという意味ではありません。

すでに服用している方は、急にやめると強い症状の反跳が起こることがあるため、主治医と相談して調整します。

クロナゼパムなどの位置づけ

クロナゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬剤は、睡眠への作用を期待して使われることがあります。

ただし、レストレスレッグス症候群そのものへの効果を裏づける根拠は限られており、眠気、転倒、依存などの問題もあります。2025年のAASMガイドラインでは、クロナゼパムの使用を条件付きで推奨していません。

そのため、「軽症ならまずクロナゼパムを使う」という一律の治療手順にはせず、個々の状態に応じて判断します。

研究紹介――短期的な効き目と、長期的な使いやすさ

薬の評価では、症状が軽くなるかだけでなく、長く使ったときにどのような問題が起きるかも重要です。

Allenらが2014年に発表した無作為化比較試験では、719人を対象に、プレガバリン、プラミペキソール、プラセボを比較しました。

プレガバリンは12週間の評価でプラセボより症状を改善しました。また、40週または52週にわたる評価では、オーグメンテーションの発生率はプレガバリン群で2.1%、プラミペキソール0.5 mg群で7.7%でした。一方、プラミペキソール0.25 mg群との比較では、有意差は示されませんでした。

この研究は、特定の薬がすべての面で優れていることを示すものではありません。目先の効果に加えて、長期的な症状悪化も含めて薬を選ぶ必要があることを示した研究として重要です。なお、プレガバリンは日本では本症への適応外です。

睡眠中に脚が動く「周期性四肢運動」との違い

レストレスレッグス症候群では、睡眠中に脚が繰り返し動く「周期性四肢運動」を伴うことがあります。

ただし、起きているときの「脚を動かしたい感覚」と、眠っている間の脚の動きは、同じものではありません。

また、睡眠検査で脚の動きが見つかっただけで「周期性四肢運動障害」と診断するわけではありません。睡眠や日中の生活への支障があり、ほかの病気では説明できないかを評価します。

受診を考える目安

脚の不快感で眠れない、夜中に何度も起きて歩いてしまう、長時間座ることがつらい場合は、一度ご相談ください。

受診時には、症状が出る時間帯、動かすと軽くなるか、週に何日ほど起こるか、服用中の薬やサプリメントを伝えていただくと、診断の手がかりになります。

レストレスレッグス症候群は、鉄不足や悪化要因の見直し、適切な薬物療法によって改善を目指せる病気です。脚の不快感と睡眠の状態を一緒に確認しながら、治療を考えていきます。

参考文献

  1. Allen RP, et al. Restless legs syndrome/Willis-Ekbom disease diagnostic criteria: updated IRLSSG consensus criteria. Sleep Medicine. 2014;15:860–873.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25023924/
  2. Winkelman JW, et al. Treatment of restless legs syndrome and periodic limb movement disorder: an American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline. Journal of Clinical Sleep Medicine. 2025;21:137–152.
    https://doi.org/10.5664/jcsm.11390
  3. Silber MH, et al. An Updated Algorithm for the Management of Restless Legs Syndrome. Mayo Clinic Proceedings. 2026;101:1561–1588.
    https://doi.org/10.1016/j.mayocp.2026.05.010
  4. Allen RP, et al. Comparison of pregabalin with pramipexole for restless legs syndrome. New England Journal of Medicine. 2014;370:621–631.
    https://doi.org/10.1056/NEJMoa1303646
  5. 医薬品医療機器総合機構(PMDA):レグナイト、ビ・シフロール、ニュープロパッチの電子添文。

情報確認日:2026年10月17日

執筆及び医学監修:高橋 和政(ことのはメンタルクリニック院長)